SNSを活用した化粧品キャンペーンとは?│美容業界での効果的な運用方法を検証!

SNS と化粧品のキャンペーンは切っても切れない関係にあります。
なぜなら SNSの情報拡散力は計り知れないからです。
たとえユーザーが国外に居住していても、スマートフォンやパソコンさえあれば情報が伝わる時代。
化粧品メーカーはこぞってSNSでキャンペーンを打ち出しています。
そこで必要なのが自社と他社との差別化。
この記事では効果的なPRにつながるノウハウを解説します。

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1 SNSで化粧品のキャンペーンをすべき理由

インターネットやSNSが発達する以前は、テレビのコマーシャルや雑誌、チラシなどが
主な広告として機能
していました。
もちろん、これらの広告媒体はいまだ使われています。

ところが時代は大きく変わりました。
SNSが流行の先端を発信するツールとなった現代において、もともと存在していた広告媒体だけでは
キャンペーンの効果が見込めなくなった
のです。
そこで企業側がInstagramやTwitterなどをうまく取り入れる必要に迫られました。

特に新型コロナウイルスの拡大もあり、店頭での販売が難しい状況。
大規模な化粧品のイベントやタッチアップなどは行えず、オンラインで口コミを調べるしかない。

このような事情から、Webサイトを経由して化粧品を買うユーザーは以前にもまして増えています。
インターネットやSNSの普及にくわえ、社会的情勢が実店舗を経由しない購入方法を一般的にしたといって
過言ではないでしょう。

YouTubeやInstagramで化粧品の口コミを調べるのが当たり前になった今、SNSでの化粧品キャンペーンは
必須
なのです。

2 化粧品キャンペーンに適したSNSとは?

SNSと一口にまとめても、いくつか選択肢があります。
代表的なものはInstagram
最近ではTikTok(ティックトック)も登場し、SNSなしの生活など想像もできないほどに浸透していますよね。
ここでは、化粧品のキャンペーンに取り入れるべきSNSをピックアップ。

(1) Instagram

まずは王道のところから。
Instagramと化粧品のキャンペーンは相性抜群。
うまく使えば、着実にブランドのファンを増やせるのです。
写真や動画がメインゆえ、見た目のインパクトが大事なコスメにとっては得意分野。

Instagramのアクティブユーザー数は2020年末の時点で3300万人。
特に20代から40代にかけて多いというデータがあります。
10代はInstagramを使わないのか?というと、もちろんそんなことはありません。
ティーンエイジャーの6割ほどは使用しているのです。

このように、幅広い年代のユーザーがおり、視覚に訴える力が大きいのが特徴。
言葉だけでは伝わりにくい化粧品の魅力を、ビジュアルで伝えられます。

(2)Twitter

ある程度Instagramでキャンペーンを実施してアカウントの認知度が高まってきたら、Twitterも取り入れましょう。
文章がメインのSNSですが、動画を投稿すれば確実にユーザーの目に触れます。

Twitterに限ったことではなく、SNSには「美容系インフルエンサー」と呼ばれる人たちが存在します。
その名の通り、すさまじい影響力の持ち主。
彼ら・彼女らが情報を発信すれば、たちまち品物が売り切れることも。
美容に関する話題を発信するのに特化したアカウントを持つインフルエンサーに宣伝してもらえば、
広告費を抑えられるメリットがあるのです。

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(3) Facebook

先ほど登場したInstagramは、Facebookの傘下にあります。
両方のアカウントを持つユーザーが紐づければ、Facebookへの投稿を同時配信できるというシステム。
もちろん、Instagramと同じように動画や写真を投稿できます。
ただし、注意点としてアルゴリズムが変更されていることを覚えておきましょう。
具体的には、友人や家族などの関係性がある人たちのアカウントが優先的に表示されるようになりました。
つまり、Facebookを運用するだけだと従来はキャンペーンが行き届いていたターゲットに投稿が届かない
可能性があります。

(4) YouTube

もはやSNSの1つとして確固たる地位を築いています。
10代の利用者が多いのが特徴
若者をターゲットにしてPRしたいなら、使わない手はありません。
化粧品会社と人気ユーチューバがタイアップしてキャンペーンを実施すれば、かなりの効果が期待できます。
実際にそのような例は枚挙にいとまがありません。

(5) TikTok

番外編として、TikTokについても触れておきましょう。

YouTubeと同じ動画がメインのSNSですが、こちらはショートムービー。
じっくりと腰を据えて楽しむというよりは、スキマ時間の娯楽として親しまれています。
動画の撮影から加工まで、TikTokだけで済む手軽さが特徴。
音楽が聴き放題になるサービス「AWA」と業務提携しており、流行のBGMを投稿に
取り込めるのも高評価のポイント。
トレンドの発信地のような役割を果たすこともある、注目度の高いSNSです。

(6) 口コミサイト

SNSとは少し違いますが、口コミサイトも有力なツール。
いまや情報収集の手段になっています。

化粧品を購入する際に、使った人の意見や評価を知りたいユーザーは多いのです。
これはコスメだけでなく、あらゆるモノやサービスに共通する部分。
たとえば日本で最大の化粧品口コミサイト「@コスメ」
このような媒体に広告・キャンペーンを掲載するといった方法が考えられます。

3 SNSを活用した化粧品キャンペーンの攻略法

それでは、SNSをどのように化粧品キャンペーンに活用すればいいのでしょうか。
ここでは、マーケティングの基礎知識各種SNSの使い方について解説していきます。

(1)マーケティングの知識を取り入れる

プロモーションには、少なからずマーケティングの知識が絡みます。
昨今のトレンドは、動画の活用とインフルエンサーの起用に集約されるでしょう。

動画マーケティング

化粧品のオンラインショップの需要は伸び続けています。
美容業界もその流れを汲み、ECサイトでの販売促進・プロモーションを強化する必要があるでしょう。
そこで動画コンテンツの出番です。
何より、視聴すればわかるのが最大のメリット
リンクを貼って動画をシェアしてもらうことも可能。
ブランドの認知度の拡大にうってつけなのです。

動画でコスメをチェックしてから実際に店頭で購入する。
気に入ってもらえたら、ECサイトでリピート。
化粧品の企業としては、ユーザーにこのような消費行動をしてもらうのが理想的です。

マーケティングは奥が深く、追求しすぎるとキリがありません。
広報担当者は、必要な範囲で取り入れてみるといいでしょう。

インフルエンサーマーケティング

インフルエンサーと化粧品プロモーションのキャンペーンは、すでに述べたように相性抜群です。
動画マーケティングの欠点は、やり方次第で押し売り感が出てしまう可能性があること。
消費者は敏感です。
「買ってほしい」気持ちを前面に押し出した宣伝だと敬遠されてしまいます。
また動画の視聴者が少なければ、かかった費用を回収できないかもしれません。

その点、インフルエンサーを起用すると、自然にコンテンツの認知度アップが期待できます。
もともと人気のある人物とタイアップすることで、企業アカウントのフォロワー数や
エンゲージメント率が上がりやすいでしょう。

化粧品業界では、長期的な売上短期的な売上の両方を追求する必要があります。
基礎化粧品の類は年間を通して需要が絶えません。
しかし、季節ごとに販売されるコスメ(アイシャドウやリップなど)はその時期でないと売れないのです。
トレンドの移り変わりが早い化粧品だからこそ、ときに即効性のある手法を採用すべきでしょう。

デメリットとしては、自社でSNSを運用するよりもコストがかかる点が挙げられます。
そこは必要経費と考えるべきでしょう。
インフルエンサーに協力してもらえば、むしろかけた費用よりも大きな効果が得られる可能性が高いです。
PRの対象となる化粧品ごとに誰を起用するべきか、適切なキャスティングを考えることが重要。

SNS全般にいえることとして「何を発信するか」「誰が発信するか」が問われます。
だからこそインフルエンサーマーケティングが注目されるのです。
彼ら・彼女らの知名度は目に見えない強力な資産。自然な形で広告を出すなら、もっとも有効な手段でしょう。

(2) SNSの種類ごとの戦略

画一的な運用の仕方では、キャンペーンの効果はなかなか現れません。
SNSにはそれぞれ特徴があり、臨機応変に対応していく姿勢が求められます。

① Instagram

企業の公式アカウントをフォローするユーザーが求めることは2つ。

・トレンドの商品をいち早く知りたい、見てみたい
・自分に合ったコスメかどうかを確認したい


化粧品は、流行の最先端を走る商品といっても過言ではありません。
Instagramに投稿するうえで重視すべきなのはトレンドと季節感です。
また、肌にのせてみたときの質感や色の付き方がわかるような演出も欠かせません。
写真や動画、インスタライブ、ストーリーなどを活用していきましょう。
インスタライブは、IGTVに置いておくことでいつでも視聴できるコンテンツとしての役割を果たします。

また、コメント欄を使ってユーザーの声を引き出す手法があります。
具体的には、肌の悩みをコメントに書き込んでもらい、悩みにあったコスメをプレゼントするといったもの。

ハッシュタグキャンペーンも有効ですね。
リール動画なら、最大で30秒のショートムービーを作成可能。
BGMや加工次第で、インパクトのあるコンテンツになります。

余談ですが、Instagramの投稿にはショッピング機能(Shop now)があります。
投稿のタグ付け機能と同じ要領で商品タグの設定ができますよ。
ECサイトに導入するよりもスムーズに購入に結びつけるシステムです。

② Twitter

Instagramの運用が軌道に乗ってきたら、Twitterの公式アカウントも同時展開していきます。
こちらは文章がメインのSNSですので、使用感をリアルに伝える投稿がおすすめ。
先ほども紹介したインフルエンサーとタイアップして、Twitterからのサイトアクセス数の増加を目指します。

文章で伝えるツールではありますが、動画を投稿する機能も活用できるのがメリット。
Instagramと比べるとビジュアル面での訴求力がやや落ちる傾向はあるものの、アクティブユーザーの
多さを考慮すると外せないでしょう。

よくあるのは、次のようなキャンペーン。

・前提条件として企業の公式アカウントをフォローしてもらう
・いいねやリツイートをお願いする
・動画の視聴者や応募者にサンプルをプレゼントして口コミを投稿してもらう


たとえば、以前にニベアが同様のキャンペーンを実施していました。
公式アカウントをフォロー、ハッシュタグをつけて新商品のクレンジングオイルのレビューを投稿します。
抽選で1000名に「スペシャル美容セット」が当たるという内容。
このように、消費者の生の声を引き出す取り組みが主流です。

③ Facebook

InstagramやTwitterとくらべると、ビジネス目的に傾きがちなSNS。
キャンペーンやプロモーションに取り入れないのはもったいない。
もちろん化粧品業界でも使われています。

動画やスライドショーといったコンテンツを活用し、商品ラインナップを紹介する。
またはコラムを展開する。
やり方次第では、ブランドイメージの定着やコンセプトを効率よく発信できます。
Instagramに広告の同時配信が可能という特徴も。

キャンペーンとは少し違いますが、Facebook広告を利用するメリットを解説します。

●オリジナルの広告を出せる
Facebook・Instagramの広告は、管理画面から設定します。
つまり、DSPや広告ネットワークは関知しないということ。
趣向をこらした広告を打ち出し、他社との差別化を図るのに役立ちます。

●ターゲット設定が細かい
Facebookの広告配信は、ユーザーがアカウント開設時に登録した情報をもとに流されます。
他のSNSでは、年齢や性別を推定する「みなし」がありますが、それとは違います。
特定の層のユーザーに宣伝したい場合、効率的な広告配信が可能。
的を絞った訴求効果が期待できます。

●マーケティングの目的に沿った広告を出せる
広告主の意図はそれぞれ異なります。
ブランディングをしたかったり、商品の宣伝をしたかったり。
目的に適したフォーマットを選べるため、かゆいところに手が届くというわけ。
たとえば動画・画像・カルーセルなどから選べるのです。

④ YouTube

YouTubeはもはやテレビをしのぐ人気があります。
テレビは観ないけどYouTubeの動画は視聴するという人もいるのではないでしょうか?
動画が主体のメディアであり、Instagramと同じく化粧品のプロモーションとなじみやすいのです。
YouTubeで人気のクリエイターはユーチューバと呼ばれ、チャンネル登録者数が多ければ多いほど情報を拡散する効果が期待できるでしょう。
10代の視聴者が特に多く、若い世代へ宣伝したいなら絶対に攻略すべきです。

特徴として、動画視聴前に流れる広告を併用してブランドの魅力や世界観を伝えられます。
無料プランであれば広告を飛ばせないので、おのずと再生されることに。

ここで改めて動画のメリットを解説しておきましょう。

●立体的な演出が可能
写真はどうしても平面的な構図になります。
いち方向からしか商品を撮影できず、動きに欠けるのです。
その点、動画はさまざまなアングルから撮れて便利。
コスメの魅力を余すことなく伝え、なおかつ使用感や質感が手に取るようにわかる。
これほど理想的なPRはないでしょう。

●友人にコスメを紹介するような演出が可能
YouTubeに投稿する人物は、芸能人よりも身近に感じられます。
「この化粧水、すごく保湿力があるよ!」といった具合に、使用者目線の宣伝が実現できるのです。
人気のあるユーチューバーなら、その訴求力は言うまでもありません。
だれが情報を発信するかが重要なのです。
「何を発信するか」を考慮したうえで、影響力が大きい人物に協力をあおぐのも戦略として有効でしょう。

●人気ユーチューバーの動画は質が高い
美容系のジャンルで人気のあるユーチューバーは、動画の質の高さからファンが付いてきます。
したがって商品のPR動画であっても、視聴者が最後まで視聴してくれる確率が高いでしょう。
コスメの使い方を知りたい、肌にのせたときの色味を知りたい、という需要も満たせます。
「この人の動画なら観たい」と思わせる人物とタイアップすれば、企業側がそれほど努力しなくても
再生回数は伸びるでしょう。
YouTubeなら長い動画を配信できますので、PRに十分な時間をかけられます。
なおかつ、プラットフォームに置いておけば24時間いつでも再生できるのが強いですね。

●話題の動画は拡散するスピードが速い
ちまたで話題になった動画は、あっという間に広がります。
Twitterやネットニュースなどを通じて、再生回数が爆発的に伸びるケースも。
ただし、発信する内容に気を付けないと炎上するかもしれません。
表現や演出には細心の注意を払いましょう。

4 化粧品キャンペーンを実施する際の注意点

ここでは、化粧品のキャンペーンをするにあたり知っておくべき知識をお伝えします。
関連する業務を担当する方は、ぜひ目を通しておきましょう。

(1) Instagramのコミュニティガイドライン

Instagramを利用するにあたり、守るべきルールが存在します。
他のSNSであってもご法度に触れる投稿はさけましょう。

【コミュニティガイドライン】
有意義で誠実なやり取りを大切にしてください。
「いいね!」、フォロー、シェアを人為的に集めたり、同じコメントやコンテンツを繰り返し投稿したり、
利用者の同意を得ずに商業目的で繰り返し連絡したりしないでください
スパムのない環境を維持しましょう。
「いいね!」やフォロー、コメントを含むやり取りの見返りに、現金や現金同等物の提供を申し出たり
しないでください。
誤解を招く偽のユーザーレビューや評価の提供、勧誘、取引に関与したり、これらの行為を促進、奨励、助長、承認したりするようなコンテンツを投稿しないでください。
(出典:Instagramのヘルプセンター)

要するに「常識の範囲内での利用をお願いします」ということです。
ルールを順守しなければ、投稿を削除されたり、アカウントを停止されたりするかもしれません。
金銭やそれと同等の品物を見返りとして提供するのはもちろん、口コミの捏造と疑われる内容を投稿するのは絶対にやめましょう。
太字の部分に抵触する行為をすると、運営側から却下されやすいといわれています。

(2) 薬機法(旧薬事法)

薬機法の正式名称は「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」といいます。
医薬品や医療機器などの品質と有効性および安全性の担保が目的。
製造や表示、販売、流通などに関しても細かく規定されています。
(出典:「薬事法ドットコム」)

この「医薬品」や「医療機器」には、化粧品も含まれるのがポイント。
日常的に使うコスメはもちろん、シャンプーやリンスなどのヘアケア用品も対象になります。
法律が及ぶ範囲は、想像以上に広いですね。

薬機法における化粧品の定義は下記の通り。
この法律で「化粧品」とは、人の身体を清潔にし、美化し、魅力を増し、容貌を変え、又は皮膚若しくは毛髪を健やかに保つために、身体に塗擦、散布その他これらに類似する方法で使用されることが目的とされている物で、人体に対する作用が緩和なものをいう。ただし、これらの使用目的のほかに、第一項第二号又は第三号に規定する用途に使用されることも併せて目的とされている物及び医薬部外品を除く。
(出典:「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」)

条文の表現からはわかりにくいですが、肌や髪の毛に使うものも含まれると確かに記載されています。

ここで、化粧品の広報担当者なら知っておくべき知識を解説しましょう。
「化粧品・コスメの広報で気を付けたい薬機法とは?知っておきたい10のこと」を参考にして
簡潔にまとめてみました。

【薬機法+αで知っておきたいルール】
・景品表示法
・化粧品の表示に関する公正競争規約
・医薬品等適正広告基準
・化粧品等の適正広告ガイドライン
・特定商取引法

法律は改正される可能性があると心得ましょう。
常に最新の情報を確認すべきです。
省庁からの通達も見逃さないようにしてください。

なお「通達」は一般の法令とは異なります。
国民を規制するものではなく、あくまでも行政機関内で通用する命令のこと。
法令との違いを押さえておきましょう。

【化粧品の広報担当が押さえるべき10のルール】
① 化粧品の効果や効能を説明するための表現には制限がある
② 成分や原材料に関する記述は、事実に基づいた範囲にとどめる
③ 製造方法についても同様 
④ 化粧品の効能や安全性を保障する表現は禁止
⑤「絶対に効く」といった表現は禁止
⑥ 体験談に効果や効能を掲載するのは禁止
⑦ 使用前と使用後の画像・写真に安全性を保証する表現を掲載するのは禁止
⑧ 他社の製品を誹謗したり比べたりするのは禁止
⑨ 医薬関係者や美容師などが化粧品の効果・効能を保証する表現を記載するのは禁止
⑩ 消費者に不安や恐怖の念を抱かせる表現は禁止

何気やっているキャンペーンやプロモーションが、法律に抵触するかもしれません。
法律は「知らなかった」だけでは許されないのです。
罰金刑や懲役を科せられるだけでなく、補償金の支払いが生じる可能性も。
もしそんな大事になれば、社会的制裁を受けて会社のイメージが悪くなります。
売上を追求するあまり、法を逸脱する行為をしないよう気を付けましょう。

(3) シニア世代へのアプローチも忘れない

10代から40代の層では、SNSを使っていない人は少数派ですね。
最近はシニア世代にも浸透してきました。

市場調査メディア「ホノテ」によると、シニア世代の2人に1人がSNSを使っているとのこと。
調査対象は、全国の60~79歳の男女1000人です。
具体的には、下記のような結果でした。

第1位 LINE
第2位 Facebook
第3位 Twitter
第4位 Instagram

つまり何が言いたいかというと、ターゲットによりプロモーション戦略を変えるべきなのです。
SNSとひとくくりにしてしまうと、アプローチが届かない人々が存在します。
そもそも、SNSを使いたくない、不慣れで使い方がよくわからない人も一定数いるはず。

たとえば50代以降の女性に人気のブランド「プリオール」
想定されるユーザーの年代に適したモデルを起用して、ブランディングに成功しました。
テレビコマーシャルで見かけた人が多いのでは?
ちなみに同ブランドは公式LINEを導入しています。

シニア世代に限って言えば、雑誌やラジオなど、ソーシャルメディア以外の手段が有効だと考えられます。
スマートフォンの普及率は高いので、なかにはSNSを使いこなすシニア世代もいるでしょう。
そのような人々に向けたキャンペーンも実施しつつ、オールドメディアでのPRも同時展開するのがおすすめ。

5 SNSの化粧品キャンペーンを成功に導くコツ

化粧品のキャンペーンを実施したとしても、必ず成功するとは限りません。
私たちが知らないだけで、失敗に終わった事例も数多くあるのです。
ここでは、成功を引き寄せる秘訣と実際のキャンペーン事例を紹介しましょう。

(1) ユーザーの悩みに寄り添う

化粧品を買う消費者は、どんな願望を持っているのでしょうか?
最新のトレンドに乗っかりたい、好きなブランドのコスメが欲しい。
表面的にはこのようなニーズが読み取れます。

しかし、消費者心理は売り手が考えているよりも複雑。
その根底には「悩みを解決したい」という願望が隠れています。
コスメの効能や効果、つまり機能面ばかりを前面に押し出す手法では訴求できません。

・しわやシミが気になる
・肌の赤みを隠したい
・乾燥肌を改善したい

女性が化粧品を買い求める理由はさまざまですが、潜在的に悩みを解決したい気持ちがあるのです。
そこで企業側は「弊社の○○を使うと、あなたの肌を理想の状態に近づけます」と訴える必要があります。

(2) 実際のキャンペーン事例

それでは、具体的なケースに移りましょう。
ここで紹介するキャンペーンはすでに終了しています。ご了承ください。

①FORTUNE

株式会社コーセーが展開するブランドです。
インフルエンサーの白川れなさんを起用し、タイアップしました。
白川さんはInstagramで絶大な人気を誇り、フォロワー数はおよそ9万人(2021年9月現在)。
美容・コスメのジャンルが得意な人物とタッグを組み、効率的な販売促進を実現しました。
インフルエンサーマーケティングのお手本と言えるでしょう。

② ロゼット

洗顔料が有名なブランドです。
こちらはTwitterのハッシュタグキャンペーン。
コンセプトは「なんとかしたい!あなたの肌悩みは?」でした。
応募者の肌質にあった洗顔料が当たるという内容。
まさに悩み解決型です。

ロゼットの公式アカウントをフォローし、ハッシュタグをつけてツイート。
すぐに返信DMが届き、抽選結果がわかるシステム。
通常の抽選よりも結果がわかるのが早く、便利ですね。

③ 新日本製薬株式会社
SNSのキャンペーンではありませんが、参考になりそうな事例なのでとり上げました。
店頭で街灯の商品を購入し、QRコードを読み取って応募するシステム。

このキャンペーンでは、Sexy Zoneの中島健人さんをキャラクターにしています。
人気のアイドルとタイアップすることで、SNSを使わなくても効果的な宣伝が可能。
ある意味、インフルエンサーマーケティングといえます。
ただし、アイドルの出演料は一般のインフルエンサーよりも高くなるでしょう。

6 まとめ

今回は、SNSを活用した化粧品キャンペーンについて解説しました。
少々ボリュームがある記事のため、改めて内容をまとめます。

・SNSで化粧品のキャンペーンを実施すべき理由
・化粧品キャンペーンに適したSNS
・SNSを活用した化粧品キャンペーンの攻略法
・化粧品キャンペーンにおける注意点
・SNSで化粧品キャンペーンを成功させるコツ

Instagram、Twitter、FacebookといったSNSのほか、番外編として口コミサイトやTikTokを紹介。
イノベーションが浸透する速さが圧倒的に早まっている現代、また新しいソーシャルメディアが
登場するかもしれませんね。

Instagramでは写真や動画(リール含む)、インスタライブを使ってファンにコスメの魅力を訴求します。
Twitterならリアルな口コミを反映した投稿を充実させましょう。動画も有効です。
Facebookは広告のフォーマットを選び、Instagramに同時配信。
YouTubeは企業が動画を配信するよりも人気のユーチューバーに協力を依頼すると効率がよいでしょう。

何より重要なのは、消費者の悩みに寄り添ったキャンペーンを打ち出すこと。
効能や機能を説明するだけでは売れません。
“この商品を使うと望む未来を実現できる”とベネフィット(利益・恩恵)を訴求しましょう。
もっと簡単な言い回しをすると、ユーザーが思わず買いたくなるプロモーションをするということ。

化粧品の広報担当は、さまざまなノウハウ・知識を求められます。
仕事で悩んだり迷ったりしたら、ぜひこの記事を参考にしてください。

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