Instagramは画像の投稿を中心としたSNSです。
画像と一緒に文章を投稿したり、ストーリーと呼ばれる24時間限定のショート動画の投稿をしたり、様々な機能があります。
そんなInstagramは、企業の商品の宣伝やサービスの告知など、ビジネスのフィールドでも注目を集めています。
Instagramは女性のユーザーが多く、写真投稿をメインにしているという特性から、ターゲットを女性に絞ったマーケティングに適しています。
しかし、2020年6月のInstagramのコミュニティガイドラインの改定により、これまで容認されてきた一部のキャンペーン活動が禁止されることになりました。
この記事では、Instagramを活用して集客・宣伝を目指している人がキャンペーンを企画する際に、どんな内容が禁止されていて、なにが許可されているのかがわかるように解説していきます。
※この記事で紹介する禁止行為、許可されている行為については、インスタグラム公式が発表しているガイドラインを基に想定しています。ルールに則ってインスタグラムを利用できるよう、キャンペーンに関する疑問や不明点は、インスタグラム公式に問い合わせて実施することを推奨します。
Instagramでのキャンペーンとは?
2020月のInstagramのルール改正に際に「Instagramのキャンペーン禁止」が話題になりました。
Instagram上のキャンペーンと言われても、あまりに範囲が広すぎてピンと来ない方もいるかもしれません。
この項目ではまず、Instagramにおけるアカウントのビジネス利用のはどのようなものがあるかを紹介します。
ビジネス目的のInstagram活用
ビジネス目的のInstagram活用の例としては以下のようなものが挙げられます。
- 実店舗を所有している人が訪店を促す
- オンライン販売をしている人がサイトに誘導する
- インスタグラム上のやり取りで売買する
Instagramの上記のいずれのビジネスの形態であっても、基本的に禁止の対象にはなっていません。
インスタグラムのコミュニティガイドラインによれば、Instagramでのビジネスの展開をすることに問題があるというよりは、取引する商品やサービスに応じて制限が設けられているようです。
例えば、法律で禁止されているものは当然のこと、その他危険物や生き物の取引は原則禁止となっています。
詳しくは、後述の「禁止されている行為」の項目で触れます。
宣伝、集客
冒頭で触れた通り、インスタグラムは女性ユーザーの比率が高いこと、写真を中心としてSNSであることから、特定のビジネスの宣伝集客では大きな効果が見込めます。
具体的には、美容、ファッション、飲食店などの業態では、視覚的な商品のアピールができることから、親和性の高いジャンルであると言えます。
店舗に関する情報を掲載したり、おすすめの商品を紹介したり、宣伝の方法は様々です。
インスタグラムでは、フォロワーを増やすために「タグ」「ハッシュタグ」を活用することができます。
集客を目指すアカウントにとっては、「タグ」「ハッシュタグ」を使って認知度をアップし、検索からアカウントにたどり着いた人にフォローしてもらうという方法が一般的です。
しかし、いくら投稿を継続的に行ったとしても、フォロワーが少ない状態では意味がありません。
「タグ」や「ハッシュタグ」を活用した方法でもフォロワーを増やすことはできますが、ユーザーが検索をかけるか、タグを閲覧しないとアカウントにたどりついてもらえないので、時間がかかる可能性があります。
そこで、ビジネス目的にアカウントの中には、「フォローしてくれたら〇〇プレゼント」「フォローしてくれた人の中から抽選で〇〇!」などのキャンペーンが行われるのです。
2020年6月のコミュニティガイドラインの改定は、主にこれらの「フォロワーゲット」を目的としたキャンペーンを規制するものだと考えられます。
禁止行為:現金・金券のやりとりの禁止
ここまで読んで、「じゃあフォロワーを増やすためのキャンペーンはすべて規制対象になるの?」と思った方もいるかもしれません。
Instagramのコミュニティガイドライン、プロモーションガイドラインを読んでいくと、どうもそうではないようです。
今回の改定で最大のポイントとなるInstagramのコミュニティガイドラインの文章です。「いいね!」、フォロー、シェアを人為的に集めたり、同じコメントやコンテンツを繰り返し投稿したり、利用者の同意を得ずに商業目的で繰り返し連絡したりしないでください。スパムのない環境を維持しましょう。「いいね!」やフォロー、コメントを含むやり取りの見返りに、現金や現金同等物の提供を申し出たりしないでください。
Instagram コミュニティガイドライン
重要な部分は『「いいね!」やフォロー、コメントを含むやり取りの見返りに、現金や現金同等物の提供を申し出たりしないでください。』という部分です。
つまり、これまでのInstagramでのフォロワー増加キャンペーンでは「フォローしてくれた人の中から抽選で1名に1万円プレゼント」など、直接的に現金を提供するものもあったことが予想されます。
これは、フォローしれくれた人への見返りだけでなく「いいね!」やコメントへの見返しも含まれています。
コミュニティガイドラインの改定後は、これらの行為に対して景品として「現金(もしくは現金と同等のもの)を提供することは禁止された」という解釈ができます。
禁止行為:やり取りの見返りに賞品
2021年9月現在のコミュニティガイドラインの文章には「見返り」という言葉が記載されています。
コミュニティガイドラインでは、『「いいね!」やフォロー、コメントを含むやり取りの見返り』という記載があります。
この「見返り」という言葉を具体的な例に落とし込んでみると、「『いいね!』をしてくれたら〇〇をします」「フォローしてくれたら〇〇プレゼント」といった行為が想定されます。
ここから考えると、基本的にはInstagramでの「フォロー」「いいね!」「コメント」などの行為への賞品提供は、控えた方が安全です。
禁止行為:現金や現金同等物の提供
「現金や現金同等物」という部分には、何が含まれるのか気になっている方もいると思います。
この部分の解釈は、少し複雑です。
例えば、「フォローしてくれたら1万円プレゼント」だったら、あきらかに「現金」の提供にあたるため、禁止行為にあたることがわかります。
同様に「図書カード3,000円分!」も、「現金同等物」であることがわかるので禁止行為です。
では、「エステ1時間無料券プレゼント」や「保湿化粧水プレゼント」はどうでしょうか。
特に自社のサービスや商品を提供する場合、それが「現金同等物」にあたるかどうかは微妙なラインではあります。
結論としては、「見返り」としての賞品提供は、明らかに現金とみなされるものでなくても控えた方が安全です。
現金や金券でなければ、ガイドラインに明記されていないために規制の対象にならない可能性もありますが、解釈によっては「現金同等物」ととられてしまう可能性もあります。
キャンペーンを企画する際に心配な部分があれば、Instagramに問い合わせをしてみるか、規制対象になる可能性のあるものは控えるのが無難です。
禁止行為:禁止物の売買
Instagramのコミュニティガイドラインの、『法律を守ってください』という項目にはこんな文章があります。
性的サービスの提供、個人間での銃火器やアルコール、タバコ製品の売買、ならびに違法薬物または処方薬の売買(自分の居住地域で合法である場合も含む)も認められていません。また、Instagramでは、実店舗で販売が許可されているものでも、生きた動物の個人間での販売を禁止しています。密猟または絶滅危惧種やその一部の販売を手配することはできません。
その他の規制された商品の売買を行う場合も、必ず法律に従ってください。オンライン賭博、スキルを要するオンラインリアルマネーゲーム、オンライン宝くじを宣伝するアカウントは、Instagramの製品を使用する前に、Instagramからの書面による許可を得る必要があります。
Instagram コミュニティガイドライン
当然ですが、法律に違反することはインスタグラムの中でも行うことはできません。
法律に禁止されていないものであっても、売買の際に特別な免許が必要なものは原則的にインスタグラムを通じたやりとりの中で販売することができません。
また、ここに記載されているように生きた動物の販売も禁止されています。
ブリーダーからペットを購入するなどのやり取りも、インスタグラムのガイドライン上では禁止されているので、注意しましょう。
インスタグラムをビジネスで活用する場合は、自社の商材がこれらのルールから外れていないことを慎重に確認し、規約に則った活用をすることが大切です。
禁止行為:タグ付けの強制
その他、Instagramのプロモーションガイドラインには以下のような文章があります。
コンテンツに誤ったタグを付けたり、そうするように他の利用者を仕向けることはできません(利用者が写っていない写真に利用者自身をタグ付けするよう仕向けるなど)。
Instagram コミュニティガイドライン
先ほどのコミュニティガイドラインには、「いいね!」「フォロー」「コメント」に対する商品提供の禁止が記されていましたが、ここでは「タグ付け」に関する規制が定められています。
例えば、該当するものが何も映っていないのにアカウント拡散目的でタグをいろんなものにつけることは、実は公式には禁止されている行為です。
もちろん、該当商品やサービスが写真に含まれている場合は正当なタグ付けとなります。
しかし、アカウント拡散の目的で、インフルエンサーなど影響力のある人のツイッターにタグだけ付けてもらったり、宣伝のためにフォロワーを仕向けるようなことは規約に違反してしまうので、注意しましょう。
このルールに抵触しないためには、写真内に関連しているものを写しておくことがポイントになります。
写真に該当するものが写っていたとしても、「タグ付けしてくれたら〇〇プレゼント」などのキャンペーンにしてしまうと、先ほどのコミュニティガイドラインのルールに反してしまうので、それは控えるのが良いと言えます。
規約で禁止されていない行為
ここまで、Instagramのキャンペーンに関して禁止されている行為について紹介してきました。
「ということは、Instagramではすべてのキャンペーンが禁止になったの?」
「現金じゃない商品もプレゼントできないの?」
と思った方もいると思います。
答えは、イエスであり、ノーです。
なにが言いたいかと言うと、「フォローしてくれたら〇〇プレゼント」などの形式はリスクがあるので避けた方がいいが、他に方法があるということです。
プロモーション(コンテスト・検証)はOK
Instagramのプロモーションガイドには、このような文章があります。
プロモーション(コンテスト、懸賞等)の案内や運営のためにInstagramを利用する場合、ページ作成者は、次の事項を含めて、当該プロモーションを合法的に運営する責任を負います。公式ルール、規約と資格要件を設定すること(年齢や居住地の制限等)、プロモーションおよび提供される賞品や賞金に適用される規則や規制を遵守すること(登録、規制上必要な承認の取得等)。
Instagram プロモーションガイドライン
「プロモーション(コンテスト、懸賞等)の案内や運営のためにInstagramを利用する場合」という文章が含まれています。
つまり、Instagramは基本的にコンテストや懸賞の実施を禁止しているわけではないということがわかります。
これらのガイドラインの文章からわかる注意点は:
- コンテストや懸賞の運営は許可されている
- Instagramはフォロー、いいね!、コメントの見返りに賞品を提供することを禁止している
- 賞品は現金に限らず、商品やサービスが含まれる可能性がある
以上の3点です。
Instagramでプロモーションを行うには…
要するに、インスタグラムの規約を守り安全にプロモーションを行うためには、Instagram上でのキャンペーンの宣伝の仕方が重要になってくるということです。
例えば、「フォローをすることで賞品がもらえる」というキャンペーンを行う際には、「賞品プレゼント!応募するためにはこのアカウントをフォローしてください!」などの言い方をすることで、規約に違反しないキャンペーンを実施できます。
他にも、「#〇〇と投稿してくれた人の中から抽選で1名に◇◇プレゼント!」という書き方だと「見返り」の提供とみなされてしまう可能性があるため、「#〇〇を付けた投稿の中で、最もテーマに合っていた人に◇◇をプレゼント」というように、コンテスト形式に書き換えることがポイントになります。
コンテストや懸賞であれば認められるという点を活かし、「条件」をフォローやコメントにするということです。
規約を守ってInstagramを活用するために
ここまででわかるように、例え同じキャンペーンを行う場合であっても、書き方が違えばInstagramのルールに反することになってしまう可能性があります。
会社が安全にInstagram運営を行うためには、以下の点に注意する必要があります。
- 規約を定期的に確認する
- 不明な点はInstagram運営に確認をとる
- 明らかに「見返り」のあるキャンペーンを控える
- どんな場合でも現金(金券)は用いらない
2020年に新しく追加された規約の影響で、これまでのキャンペーンの方法が継続できない状況になったように、今後も規約が変更される可能性は大いにあります。
Instagramの規約違反とならないようにするためには、コミュニティガイドラインやプロモーションガイドなどを定期的にチェックする習慣をつけることが大切です。
ガイドラインに関しては、あいまいな表現が含まれていたり、線引きが難しい事例があったりします。
その際は、自分で勝手に判断せず、Instagramの公式に問い合わせてみるのも一つの手段です。
確認をとらずに宣伝・集客としてInstagramを活用し、せっかくフォロワーも集まってきたときにアカウントが停止されてしまう…なんてことになったら悲しいですよね。
自信がない部分や、はっきりしていないところがあれば、細かく確認をとる習慣をつけておくと、安心してアカウントを管理できます。
まとめ:規約をよく読もう!
インスタグラムは、写真で自社の商品やサービスを宣伝したり、他のユーザーに情報から情報を拡散してもらったりなど、ビジネスにおいても様々な利点のあるSNSです。
特に昨今では、若い女性の情報収集の中心的存在でもあり、「インスタを見た」という理由で購入に至るケースもあります。
物理的に遠く離れている場合でも商品を認知してもらえたり、広告費をかけずに手軽に情報発信ができたりと、インスタグラムのビジネス運用はメリットの多い集客方法です。
一方で、ビジネスアカウントとして運営する場合には、インスタグラムのルールを把握して順守する姿勢が重要になります。
ユーザー全員が気持ちよく利用できるよう、インスタグラムのガイドラインは常に更新されていきます。
ガイドラインの変更があったことを知らずに、違反しているキャンペーンをしてしまった場合も、アカウントが停止されてしまう可能性があります。
そうならないためにも、コミュニティガイドラインやプロモーションガイドを定期的に見直す習慣をつけることが大切です。
自社が行っているサービスは、ルールに違反していないか、一つ一つのキャンペーンと規約を照らし合わせて確認しましょう。
規約の解釈があいまいな場合や、不安を感じる場合にもインスタグラムの公式に確認をとることで、安心してアカウントを運営することができます。
インスタグラムアカウントを上手にビジネス利用するために、慎重に確認を行ってくださいね。
以上、インスタグラムのキャンペーンの禁止事項についてでした。